鳥取市出身で、神奈川県鎌倉市を拠点に活動する陶芸家の山根悠介さん(48)の初の里帰り展が22日、鳥取市青葉町2丁目のギャラリー栄光舎で始まった。鳥取砂丘の砂鉄を使った抹茶わんなど、手びねりによる味わい深い作品約100点が並ぶ。12月3日まで。
高校1年の時に陶芸を始め、土や釉薬(ゆうやく)の調合を手探りで追求してきた。10年ほど前から色のある世界に挑戦し、作陶30年の節目に古里での初個展が実現した。
砂丘で採取した砂鉄を釉薬に混ぜた黒茶わんは、砂鉄に含まれる成分が金色に発色し、黒地に栄える作品。4、5種類の釉薬を順番を変えながら重ねがけした茶わん「遥(はるか)」は、最初の釉薬が半分溶けてガラス質になった部分に他の釉薬が混ざり、日本海の雪景色を思わせる釉調に仕上がった。カップや楕円(だえん)皿など日常雑器も並ぶ。
山根さんは「納得する形になるのに30年かかり、ようやくスタートラインに立てた。砂鉄の作品をさらに追求したい」と話した。