23日に千秋楽を迎えた大相撲名古屋場所で、新入幕ながら優勝争いを演じた倉吉市出身の伯桜鵬関=本名落合哲也、宮城野部屋。鮮烈な活躍の余韻冷めやらぬ24日に、同市の代表的な観光地、白壁土蔵群内に等身大パネルがお目見えした。「令和の怪物」にあやかり、市の観光振興に役立てる。
パネルは「観光客に伯桜鵬と倉吉をアピールしたい」と落合関倉吉後援会が制作し、白壁土蔵群内のクラカフェ(同市東仲町)前に設置した。高さは伯桜鵬関の身長と同じ181センチ。アルミとプラスチック製でまだ大銀杏(おおいちょう)の結えない初々しい姿で関取の正装である着物を着込み、真っすぐ前を見据えている。QRコードが印刷されており、スマートフォンなどで読み取ると、伯桜鵬関のプロフィルなどを閲覧できる。直射日光にも耐えられるよう、紫外線カット加工の日焼け対策も万全だ。
東京から家族で観光に訪れた山田勉さん(58)は早速パネルとともに記念撮影。「意外と身長が低い」と話し「体ができれば大関まではいける」と今後の躍進に太鼓判を押した。
後援会事務局を務める認定NPO法人未来の岸田寛昭理事長は名古屋場所を現地で観戦し「会場全体から大きな歓声を受けていた」と、伯桜鵬人気が全国区になりつつあるとを実感。「観光客に記念撮影してもらい、倉吉を知ってもらうきっかけに」と意気込む。同後援会の岩本善文事務局長も「ひと目で認識してもらえる効果がある。イベントなどにも連れて行きたい」と、パネルの“巡業”に意欲を示した。
記者の手帳 一体感をまちの活力に
「倉吉がこんなに盛り上がるとは」-。109年ぶりの新入幕優勝のかかった23日の名古屋場所千秋楽。倉吉市内に設けられたパブリックビューイング会場は150人の市民の熱気に包まれていた。来場者全員での「伯桜鵬コール」もむなしく偉業達成はならなかったが、会場全体で喜怒哀楽を共有した来場者の表情は晴れやかだった。この一体感は地域の伝統行事や祭りとは異なるスポーツならではのものだ。“令和の怪物”はその体験を2カ月ごとに倉吉市民にもたらしてくれる可能性を秘めている。この一体感をどのようにまちの活力につなげるか。この課題に向き合える倉吉市民は幸せだ。