大川小の津波裁判描いたドキュメンタリー映画 鳥取で上映会と対談

 東日本大震災の津波で児童74人と教職員10人が犠牲となった大川小(宮城県石巻市)の遺族による裁判を描いたドキュメンタリー映画「『生きる』大川小学校津波裁判を闘った人たち」の上映と対談が18日、とりぎん文化会館(鳥取市)であった。対談では映画に映像を提供した遺族の只野英昭さんが、同小の裏山からリモート参加。来場者は被災状況や避難できたはずのルートなどの説明を受けながら、防災教育の課題に思いを深めた。

 映画は今年2月から一般上映していたが県内では上映がなく、元小学校教諭の三谷昇さんが企画。「3・11大川小学校と鳥取をつなぐ集い実行委員会」を立ち上げ、17日の倉吉市内での上映に続き開いた。

 映画には市教委による保護者説明会や検証委員会の報告など実際の映像が多く使われ、遺族と学校や行政との溝が深まる経緯を描写。わが子が亡くなった真相を知るため裁判に向かわざるを得なかった遺族の苦悩が描かれた。

 会場に招かれた寺田和弘監督は「大川小での真相は何も明らかになっていない。遺族の皆さんが『裁判に勝ってからがスタート』と言う通り、私もそう思っている」と説明。只野さんは「防災教育は変わらなければいけない。予定された避難訓練より、ここ(大川小)に来て防災意識を持って」と訴えた。

 鳥取敬愛高1年の竹本理顕さん(16)は「これまで災害の当事者になったことはないが、もし災害に遭ったら自分自身で冷静に判断しなければと感じた」と話した。

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