山陰と山陽を結ぶJR西日本の特急「やくも」(出雲市-岡山間)の新型車両273系が6日、運行を開始した。「やくも」への新型車両の導入は1982年7月以来、約40年ぶり。振り子装置が改善されたほかグループ向け座席も設けられ、従来車両に比べ快適性が向上した。鳥取県内ではJR米子駅で記念式典があり、関係者や地元住民、鉄道ファンらが新時代の到来を告げるブロンズ色の真新しい列車の出発を祝った。
新型車両は、大山の朝日や宍道湖(島根県)の夕日、たたら製鉄の炎など沿線の風景や歴史を表現した「やくもブロンズ」の外装に、列車名「やくも」にちなんで折り重なる雲をデザインしたシンボルマークを取り入れた。車内には、足を伸ばしてくつろぐことができるグループ向け座席「セミコンパートメント」を導入した。
「車上型制御付き自然振り子方式」を国内で初めて採用。走行位置を正確に把握し、カーブに合わせて滑らかに車体を傾けることで、乗り物酔いしにくい構造となっている。
式典では、米子駅のホームの発車メロディーや車内チャイムに山陰出身の4人組人気バンド「Official髭男dism」(ヒゲダン)の楽曲が使用されることにちなみ、米子東高吹奏楽部がヒゲダンの楽曲の演奏を披露し、出発を祝った。
平井伸治知事は「多くの方々にやくもに乗って山陰に遊びに来てもらいたい」と誘客に期待。JR西日本山陰支社の和田昇司副支社長は「単なる移動手段だけでなく、旅そのものが楽しくなる列車になっている」と、利用を呼びかけた。
新型車両は計44両(4両11編成)を順次導入する計画。25日まで15往復中6往復で運行し、その後段階的に追加し6月15日から全ての車両が導入される。