鳥取市出身の自由律俳人、尾崎放哉の句を書で表現する全国公募書道展「放哉を書く」(放哉の会、新日本海新聞社主催)が14日、同市のとりぎん文化会館など市内3会場で始まった。入選作品など約230点が並び、愛好家らが趣深い放哉句の世界と書の魅力を堪能した。17日まで。
17回目となる今展には、一般、高校、色紙の各部に224点の応募があった。上位入賞作や審査員らの招待作品、入選作を同館やギャラリー集(つれ)、宝林堂ギャラリーに展示している。
一般の部で最高賞の放哉大賞・鳥取県知事賞に選ばれた静岡県沼津市、風岡将平さん(35)の「闘牛の装なりぬ梅赤し」は、筆の開閉や墨の潤渇を巧みに操り、これまでの経験と力量を感じさせる落ち着いた作品に仕上げた。高校の部で大賞を飾った鳥取東高3年、西村爽花さん(18)の「傘にばりばり雨音さして逢(あ)ひに来た」は、長細い筆で線のスピードや太細に鋭く変化をつけ、激しい雨音を表現している。
鳥取市内から訪れた吉田睦子さん(73)は「5年前、鳥取に来て初めて放哉を知った。句と文字の調和、若い人の力強さに心引かれる」とほほ笑む。放哉の会の柴山抱海会長(82)は「書は文字の大小や濃淡など異なる要素を調和させる〝兼美〟が基本。多彩な表現を考えながら経験を重ねてほしい」と講評した。
表彰式は17日午後1時半から、とりぎん文化会館で行う。(前田夏海)