昨年12月に病死した県有種雄牛「白鵬85の3」のお別れ会が28日、琴浦町役場分庁舎で執り行われ、和牛生産者や農協関係者ら約100人が参列した。平井伸治知事らが鳥取和牛の名声を高めた功績をたたえ、感謝の言葉をささげた。
白鵬85の3は2010年1月、琴浦町の生産農家、生田英則さん(故人)方で生まれ、相撲好きだった息子の和史さん(同)が当時の横綱の名前を付けた。14年の産子検定では、肉の霜降り度とロース芯の大きさが当時の国内最高を記録。17年の全国和牛能力共進会(全共)宮城大会では産子の肉質と体形の両方を審査する7区(総合評価群)の県代表牛で2位、同区肉牛の部で県勢初の1位を獲得した。
全共での活躍で産子の引き合いが高まり、県中央家畜市場の20、21年の年間平均取引価格は全国1位。県は優れた種雄牛の精液の不正取引を防ぐ条例を全国で初めて制定し、白鵬85の3を含む種雄牛の遺伝資源を知的資源と位置づけた。
白鵬85の3は昨年11月末から胃が膨らむ病気などで呼吸障害を起こし同12月22日、14歳11カ月で死んだ。現在の生産状況は精液販売本数3万4870本、子牛生産頭数1万4059頭。
式典で、平井知事は「鳥取和牛の真価を万人に知らしめ、産地の誇りと結束をもたらしてくれた。その名声は永遠に刻まれる」と慰霊の言葉を述べ、玉串をささげた。生田さんの孫、智之さん(25)は「祖父と父が作り上げた白鵬85の3を超えるような種雄牛を皆さんと一緒に育てて、もう一度、日本一を取りたい」と誓った。