中野好夫の反戦思想語る 沖縄問題を中心に解説 鳥大名誉教授の岡村さん講演

 「中野好夫論-『全き人』の全仕事をめぐって」の著者で、鳥取大名誉教授の岡村俊明さん(85)による講演会が鳥取市内で開かれた。岡村さんは再び戦場化する恐れがある沖縄県の現状を示し、戦後さまざまな社会問題に取り組んだ英文学者・中野好夫の活動や反戦思想を改めて捉え直すことの意義について語った。

 鳥取市9条の会による平和と民主主義を考える連続市民講座の第2弾。「中野好夫論、特に沖縄論は、現在でも意味があるのか」と題し、中野が参画した多くの社会活動の中でも20年以上にわたって尽力した沖縄問題を中心に解説した。

 中野の活動は英米文学の研究や翻訳、社会評論や平和活動など多岐にわたる。岡村さんは、中野が旧沖縄資料センターの設立、米軍の裁判権と基地拡張を認める日米地位協定の問題の指摘、沖縄返還に関わる日米共同声明の解釈の相違を提示する論考や著書の執筆などに取り組んだことを紹介し、「沖縄問題を最初に国民に知らせた一人だ」と評価した。

 基地強化をめぐる政府と沖縄県民の対立についても触れ「現在は辺野古工事や台湾有事をにらんだ『南西シフト』が進んでいるが、沖縄返還前から中野が示していた通り今後も現地の人々の抵抗は続くだろう」との見解を示した。

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