戦争の悲惨さ後生に 鳥取 平和の鐘打ち鳴らす

 終戦から78年の15日、戦没者に哀悼の意を表す「平和の鐘」が鳥取市内でも鳴り響いた。正午の時報に合わせ、寺院の住職らが「戦争の悲惨さを後生に伝えたい」と打ち鳴らした。

 全国各地の寺院、教会で実施される平和の鐘プロジェクトの一環。終戦記念日の恒例行事だが、今年は台風7号が日本列島を直撃したため、実施を見送らざるを得ないケースが生じ、異例の年となった。

 鳥取市寺町の妙要寺では雨が降り続ける中、本堂脇の屋根付き通路に備え付けられた半鐘(高さ70センチ、直径40センチ)に向かい、鶴巻順教住職(47)が木づちで10回打ち鳴らした。寺院の釣り鐘が戦時中の兵器生産に欠かせない金属資源確保のため公布された金属類回収令の対象になった歴史を思い浮かべつつ、「ロシアのウクライナ侵攻が泥沼化している。一般市民が救われてほしい」との願いも込めて鐘の音を響かせていた。

 戦後生まれの国民が8割を超え、戦争の記憶の風化が懸念される現状を踏まえ、戦没者の孫、ひ孫世代でつくる鳥取県遺族会青年部の大河原昭洋代表(58)は「戦没者遺児の高齢化が進んでいる。私たちが語り部として引き継いでいかなければいけない」との思いを新たにしていた。来年の終戦記念日は政府主催の全国戦没者追悼式へ青年部有志と共に参列する意向だ。

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