近畿地方を縦断した台風7号の影響で、但馬地域は15日、午前中から激しい風雨に見舞われ、冠水や道路への土砂の流出が相次いだ。香美町では町内全域に最も高い警戒レベル5の避難情報「緊急安全確保」が発表されたほか、豊岡市の城崎、出石両町全域には高齢者等避難(同レベル3)が出るなど住民は不安な一日を余儀なくされた。
神戸気象台によると、同日午後6時までの24時間に降った雨量は、香住で170・5ミリ、豊岡で159・5ミリを記録した。
香美町では、町内を流れる矢田川が増水し、長井や三谷、藤地区などで氾濫。午後3時半に町内全域6369世帯1万5858人を対象に緊急安全確保を発表した。同6時現在で、香住区七日市で床上浸水、村岡区熊波で床下浸水などの被害があった。小代区野間谷地区は、道路への土砂の流出で一時孤立状態となった。人的被害は確認されていない。
新温泉町は、午前9時半に自主避難所を町内4カ所に開設した。このうち、ユートピア浜坂(同町浜坂)は、近くを流れる味原川河口周辺が冠水。近所の友人に避難を促され自主避難した同町浜坂の主婦、岡田琴恵さん(71)は「玄関を出たらすねのところまで漬かった。声をかけてもらわなければ危なかった」とほっとした様子で話した。
道路は北近畿豊岡道但馬空港(豊岡市)-和田山(朝来市)間29・6キロや国道9号関神社前交差点(養父市)-福岡交差点(香美町村岡区)間約5・7キロなど各所で通行止めが相次いだ。
公共交通機関も大幅に乱れた。空の便は但馬空港発着の大阪(伊丹)便が全便欠航。鉄道は新大阪、京都から城崎温泉を結ぶ特急「こうのとり」「きのさき」が運休したほか、山陰線園部-浜坂間も始発から運転を取り止めた。16日は同特急を一部運休。同線福知山-浜坂間は夕方以降の運転再開を予定している。