境港市の境港観光協会は21日、妖怪を題材に世相や流行を詠む「第18回妖怪川柳コンテスト」の入賞作品8句を発表した。昨年まで多かったコロナ禍にちなんだ作品が減り、景気や物価高などに目を向けた句が増加。特別審査員の漫画家、弘兼憲史さんが選んだ一般の部の妖怪川柳大賞には「模試会場 ろくろ首だけ ひとり部屋」が輝いた。
大賞は東京都豊島区の男性(76)の作品。首が長い「ろくろ首」は模試で他人の答案を見てしまうため、個室で受験しなければならない悲哀を表現した。夢みなとタワーで開かれた結果発表で、弘兼さんは「ろくろ首が1人で寂しく模試を受ける姿が漫画的で面白かった」と講評した。
中学生以下の部の最優秀賞は、東京都練馬区の中学1年女子(13)の「雪女 必死で取り組む SDGs」。地球温暖化の影響で生活圏を守らなければならない雪女を詠み、世相を反映した点が評価された。
コンテストには47都道府県と米国、フランスから3~86歳の1015人が計2622句を寄せ、題材となった妖怪はろくろ首、雪女、ぬりかべの順に多かった。同協会の結城豊弘会長は「川柳を通し、人間がどんな生活をしているか妖怪たちが照らしてくれる。全国から境港に多くの人が来て、妖怪の世界を楽しんでもらうきっかけにしたい」と述べた。入賞作品は同協会ホームページに掲載している。
発表に先立ち、弘兼さんが「弘兼流 60歳からの手ぶら人生 70歳からのゆうゆう人生」と題して講演し、市民ら約100人が聴講した。