中山間地域での医師不足が課題となる中、安来市立病院(同市広瀬町広瀬)は遠隔医療システムを導入した。現場の医師が遠隔地の専門医に助言を仰ぐことができるほか、医師が同行することなく訪問診療できる。医師らの働き方改革に寄与すると期待される。
ヘルスケアIT企業のウィーメックス(東京都、高橋秀明社長)が企業版ふるさと納税を活用し、同市に同システムの機器4台と運用経費5年分を寄付した。
システムは医療従事者同士をつなぐのが特徴。遠隔地の専門医らがタブレットなどを通して現場のシステム機器に接続し、高解像度カメラを通して患者を診断。現場の医師らに助言する。
同病院では、機器のうち高性能なカート型1台を救急外来に置く。遠隔地の医師はカメラを自在に動かすことができ、超音波やエックス線の画像など患者の情報も得られる。持ち運び可能なタブレット型3台は在宅医療で活用する。
同病院の常勤医は現在7人で、うち総合診療医は2人。常勤医は近年減少傾向にある。水田正能病院長は「医師が外来患者を診ながら、訪問診療にも対応でき、効率の良い診療が可能。医師らの負担軽減につながる」と期待した。
同システムの導入は全国で3例目、山陰両県では初めて。高橋社長は「事例を積み重ねていきたい」と話した。