秋の駅伝シーズン到来を告げる「日本海駅伝競走大会」と「くらよし女子駅伝競走大会」が13日、倉吉市営陸上競技場を発着点に倉吉、湯梨浜、三朝の鳥取県中部1市2町を舞台に繰り広げられ、全国各地から計140チーム、総勢約880人の高校生ランナーが早秋の伯耆路を駆け抜けた。仲間の思いが込められたたすきを手に熱走する選手らに、沿道の住民やチームメートらから熱い声援が送られた。
午前10時にくらよし女子駅伝の号砲が鳴り、51チームが一斉にコースに飛び出した。同市八屋の竹田橋東交差点には、西郷地区まちづくり協議会(安長章会長)が「めざせ!都大路!日本一!」と書かれた巨大な横断幕(縦90センチ、横10メートル)を設置。住民らは拍手と「がんばれ!」「ファイト!」のかけ声で、選手の背中を押した。
毎年沿道で応援している同市大原の山崎昌徳さん(71)は「全国レベルのチームが多数出場する大会が、県中部で開かれるのは誇らしい。地域を盛り上げるため、地元チームにも頑張ってほしい」と県勢の奮起を願った。
正午には89チームが出場する日本海駅伝がスタート。倉吉市内から湯梨浜町抜け、折り返して三朝町を巡るコースでたすきをつないだ。
倉吉パークスクエア付近の沿道から祖父母とともに声援を送った同市生田の新宮綾乃ちゃん(5)、大惺ちゃん(3)きょうだいは、男子高校生の力強い走りを間近に見て「お兄ちゃんたちはとても足が速かった。かっこいい」と感激した様子で話した。(井田慎一)
選手らに地元の味提供 おもてなしブース人気
大会の発着点となった倉吉市営陸上競技場では、地元の特産品やお土産を販売する「おもてなしブース」が設置され、選手や保護者らの人気を集めた。
大山乳業農業協同組合(琴浦町保)のブースでは、駅伝部員にシュークリームを無料でプレゼント。白バラ牛乳やコーヒー牛乳などの試飲にレースを終えた選手らが次々と訪れ、「ミルクの味がおいしい」と笑顔で味わった。
宝製菓(同町逢束)が大風呂敷のほか菓子を詰め合わせた「駅伝セット」、長生堂(倉吉市上井町2丁目)も地元銘菓などを販売。ブース周辺にはお土産を買い求める選手、保護者らでにぎわった。
同組合営業課の志岐佳之課長補佐(44)は「試飲や試食を通じて、県内外の人に白バラ牛乳や乳製品の良さを味わっていただきたい」と話した。(田中羽翼)
優勝監督にブレザー進呈 グッドヒル
日本海駅伝で初の総合優勝を果たした洛北A(京都府)には、優勝監督賞としてグッドヒル(鳥取市吉成2丁目)からチャンピオンブレザーが贈られた。
閉会式で新日本海新聞社中部本社の小谷和之総局長からブレザーを受け取った同校の大坂勇市引率顧問は「本年度の駅伝大会を占うような良いスタートが切れた。府の予選会でも優勝し、地元で行われる都大路への初出場を目指したい」と気持ちを新たにした。
「くらよし女子」はバルコス、「日本海」は大山乳業農業協同組合が特別協賛、両大会には宝製菓、JA鳥取中央、ミズノ、大塚製薬が協賛しており、上位チームにはそれぞれ副賞が贈られた。(田中羽翼)
全中継所に女性役員 鳥取陸協 安心安全な大会目指す
鳥取陸上競技協会は、くらよし女子駅伝で全中継所に女性役員を配置。ハラスメント防止と女子選手に配慮した運営体制を整え、安心安全な大会を目指す取り組みで、各中継所で女性役員の活躍があった。
鳥取県外の大会で、倒れた女子選手を男性役員が抱きかかえてトラブルとなった事例を受けた対応。女性役員は従来も配置していたが、十分な人数ではなかったという。
倉吉市山根の第4中継所では、鳥取中央育英高の礒江愛子教諭(40)ら3人の女性役員が走路確保に当たり、たすきリレーを終えた選手を安全な走路外へ連れ出すなどした。礒江教諭は「女子選手もちょっとしたトラブルがあった時に言いやすいし、男性役員も女性に触れる事に抵抗がある。お互いにとっていいこと」と語った。
1区を走った大阪桐蔭高1年生の倉橋響さん(15)は、第1中継所でたすきリレー後に自力で歩けず、女性役員に支えられて荷物置き場へ移動。倉橋さんは「男性は力があるのでその場ではありがたいが、女性がいてくれてうれしかった」と話した。(本高屋修)