1997年4月、大学受験に失敗した19歳の少年は、人気落語家三遊亭楽太郎(後の六代目円楽)への入門を試みる―。(9回続きの2回目)
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師匠の事務所に電話して、4月10日に両国寄席の楽屋へ。履歴書を持ってくるようにと。なんだかバイトの面接のようでした。決意表明のために丸坊主にしていざ両国!
受付で「師匠にお会いする約束をしています」と伝え、楽屋に案内されました。うおお本物だ! テレビで見る楽太郎師匠が目の前に。
「手紙は読んだ。今まで4人弟子がいたが皆辞めた。俺は厳しすぎるみたいだ。もう弟子は取らない」
「師匠以外の弟子になるつもりはありません。よろしくお願いします」
「駄目だ」「お願いします」押し問答の末「まあいいや、明日から家に来い。最低限の礼儀くらいは教えてやる」。
やりました。一歩前進。翌日師匠宅へ。初日からたくさんのことを教えていただきました。
二つ目の先輩はあにさん、真打ちは師匠と呼べ。衣紋掛け持ってこい。衣紋掛けってなんでしょう? そんな言葉も知らないのか。何? はばかりも知らないのか、最近の若い者は。手を後ろで組むな。組むなら前で。掃除の仕方、洗い物、ごみ出...