【東京ウオッチ】自然慈しみ染め上げる人生―紬織の人間国宝、志村ふくみさん特別展

いまのTokyoをつかむイベント情報(30日~12月8日)

  •  志村ふくみ「野の果て2」(2023年 紬織/絹糸、紫根、紅花、春草 個人蔵〈通期展示〉)(提供写真)
  •  文:志村ふくみ・画:小野元衛「野の果て」(手稿)(1943年 個人蔵〈通期展示〉)(提供写真)
  •  「ザ ボール オブ ドリームス」の会場にならぶディオールを象徴するコスメのアイテム(イメージ図)(提供写真)
  •  本展描き下ろし、入江亜季((C)Aki Irie)(左)と森薫((C)Kaoru Mori)(提供写真)
  •  「タカノフルーツティアラ」で提供されるいちごを中心としたカットフルーツ(提供写真)

 ◎今週の一推しイベント

 【30日(土)】

 ▽「志村ふくみ100歳記念―《秋霞》から《野の果て》まで―」(~25年1月19日、前・後期あり、港区・大倉集古館)

 ことし100歳を迎えた染織家で人間国宝の志村ふくみさんの軌跡をたどる特別展が、虎ノ門で開催されている。

 独自の感性と想像力で紬織(つむぎおり)を芸術性の高い作品として発展させた。自然の中の草木を慈しみ、無数の色を抽出し糸を染め、布を織り続けている。

 ふくみさんを染織の道に導いたのは民芸運動に携わった実母の小野豊さんだ。母は染織の道を諦めたが、31歳でこの世界に入ると決意した娘を支え続けた。前期展示(~12月15日)の会場には、母の遺作「吉隠(よなばり)」を、ふくみさんがつくった最初の着物「秋霞」と並べた。

 戦時中、19歳の時に書いた童話に兄の小野元衛さんの絵を重ね合わせた手稿「野の果て」も展示。結核を患い28歳で早世した画家の兄は、芸術精神の形成に多大な影響を与えた。ふくみさんの娘で染織家の洋子さんは「兄妹の魂の交流を感じる手稿だ。家族と死別した体験が、後の創造活動に広がりを持たせた」と語る。

 「野の果て2」は、100歳を目前に...

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