日本版画院同人の田中広子さん(77)=倉吉市小田=の個展「普段着の木版画」が、同市住吉町の市文化活動センターリフレプラザ倉吉で開かれている。22年間に制作した大小60点以上の人間味あふれる作品群に、来館者が足を止めて見入っている。30日まで(27日は休館)。
会場には、飼い主の女性を従順な目で見つめる愛犬を単色刷りで表現した2015年度日本版画院展の鳥取県知事賞受賞作「信頼」や、東日本大震災を目の当たりにして得た強烈なインスピレーションからイメージした「母と子の悲しみ」など、悲しみの中に人間の持つ温かみを醸し出す「被災地シリーズ」など多彩な作品が並ぶ。
鑑賞した湯梨浜町松崎の伊藤嘉行さん(78)は「家族愛を感じる」と、ぬくもりを感じさせる味わい深い作風に引き込まれていた。