鳥取県は新年度、吉野ケ里遺跡(佐賀県)など県外の弥生時代の史跡公園と連携し、県内の青谷上寺地遺跡(鳥取市青谷町)や妻木晩田遺跡(米子市、大山町)と、広域で交流や交易が行われていた可能性を探る調査研究事業に着手する方針を固めた。編成中の新年度当初予算案に関連費用を計上する。
県は青谷上寺地と妻木晩田の2大弥生遺跡を地域振興や観光政策に活用し、「とっとり弥生の王国」としてPRするが、全国での知名度不足が課題だった。調査研究を通じて、研究成果の学術面や政策面での活用と、遺跡の知名度向上を図る。
弥生時代は広域での交流・交易が盛んだったとされ、青谷上寺地遺跡で出土した鉄製品は中国や朝鮮半島で作られた品が九州を通じてもたらされたとみられている。また、木製の「花弁高杯(たかつき)」は北陸や島根県からも出土するが、出土数が多い青谷が生産地と推測され、海路で他地域に運ばれた可能性がある。
一方、高度な加工技術が伝来した経路や当時の生活様式には未解明な部分も多い。県は2022年度から実施する「弥生の御朱印巡り」で全国の史跡公園と交流しており、自治体同士の連携を利用して参加を呼びかける。海路でつながる吉野ケ里のほか、陸路での交流の可能性がある津島遺跡(岡山県)へも打診を検討している。共通のテーマを設定し、数年かけて研究成果を取りまとめ、弥生時代の交流の軌跡を浮かび上がらせる。
県とっとり弥生の王国推進課は「各遺跡の特色や交流の様子が分かれば、全国的な弥生時代の実像も分かる。調査を通じて弥生時代そのものに注目が集まっていけば」と期待する。