伯耆町須村の植田正治写真美術館で企画展「砂と空と海と」が開かれている。鳥取砂丘などの“天然のスタジオ”を舞台に数々の作品を発表した境港市出身の世界的写真家、植田正治氏(1913~2000年)ならではの世界が広がる。6月8日まで。
植田氏は、自宅に近い弓ケ浜で撮影した家族写真や鳥取砂丘での群像写真などで注目される。砂丘や空、海などの空間を背景にした演出写真は海外で「植田調」と称され評価を高めた。
計114点を「砂」「空」「海」の三つに分けて展示。代表作「妻のいる砂丘風景(Ⅲ)」など戦後間もない頃のモノクロ作品をはじめ、80年代のシリーズ「砂丘モード」のファッション写真、晩年のカラー作品とバラエティーに富んだ写真が並ぶ。非日常的な空間に遊び心もあふれる。
東京から訪れた大学3年の伊勢屋希貴さん(22)は「帽子が宙に浮かんだ写真はどうやって撮ったのかと思った。シンプルだけど面白くてずっと見ていられる」と話した。
同館は1995年にオープン。今年は9月に開館30周年の記念企画展を開催する予定。