日本の「バイオリン界の父」と言われる、米子市出身のバイオリン指導者、故鷲見三郎(1902~84年)を顕彰する民間団体「鷲見三郎メモリアルソサイエティ」(野坂百樹会長)が、会員の高齢化などを理由に3月いっぱいで活動を休止した。残っていた活動費は、弦楽の普及のため鷲見氏にゆかりのある団体へ寄贈した。
同ソサイエティは、青少年の弦楽の育成や、鳥取県内の盛り上がりにつなげようと、2008年11月に発足した。鷲見氏の孫で、国内外で活躍するバイオリニスト鷲見恵理子さんを招いたコンサートを開催したり、若手演奏家が集まる交流会を企画したりした。
活動休止は会員の高齢化に加え、米子市による顕彰事業の継続開催、交流会に参加した演奏家が第一線で活躍するなど「一定の役割を果たした」と判断したため、決断した。
会員らで出し合った活動費の残金は、鷲見三郎氏が創設した「いずみ会」に寄贈した。同会は若手演奏家の発表の機会創出のため、全国各地のホールで定期的に発表会を開催している。
同市内のホテルで3月22日、野坂会長が恵理子さんに活動費を手渡した。恵理子さんは「活動が続くように盛り上げていく」と感謝。野坂会長は「ソサイエティの活動は休止するが、コンサート開催の協力など支援は積極的にやっていく」と話した。