刻々と減り、ゼロに近づいている-。医師の徳永進さん(74)=野の花診療所院長=は、鳥取市内で開いたハンセン病療養所入所者のドキュメンタリー作品上映会で、高齢化の現実を問題提起していた。後日取材すると、鳥取県の「無らい県運動」の史料を見せてくれた。「らい菌」に感染することで起きるハンセン病の患者を療養所に送り込む。全治すれば“帰郷”できるという為政者のせりふが載っていた。それは“守られなかった約束”を意味する。『隔離』の著者でもある徳永さんは史実にメスを入れ、問題を検証、継承する活動に精を出し続けている。