元公務員の田中駿さん(31)が三朝町の山野草専門店を承継し、今年9月、岩美町岩本に「Natural Plants 葉波」を移転した。店頭に並ぶ山野草は500種類を超え、中国地方最大級の品ぞろえを誇る。年配客に加え、新しい顧客層の獲得にも力を入れる方針で、田中さんは「来店客同士で新しいコミュニティーをつくり、岩美町を元気にできたら」と意気込んでいる。
「100年以上前に松村さんが発見して名付けられたんですよ」と説明しながら田中さんが手にしたのは、絶滅危惧種の「マツムラソウ」。広く親しまれるフウキランも紫や白など複数の色をそろえ、「中国地方でこの規模のお店はないと思う」と胸を張る。
田中さんの植物ライフは中学時代に始まった。自生するケヤキを植え替えて育てたり、食卓に上がったレモンの種を発芽させたりした。「小説で木は神聖なものとして登場することが多く、憧れがあった」と目を輝かす。大学進学先の京都のアパートでもベランダを鉢で埋めて土だらけにするほど没頭した。