【相談】若い頃から哲学に興味があります。学生時代は哲学科専攻でヘーゲルを学び、40~50代では、休日に少しずつですが、独学でウィトゲンシュタイン(ウィーン出身の哲学者)の研究書を読んでいました。60代では体を壊して体力がなくなり、勉強を中断してしまったのですが、70歳になった時、「このままでは自分は駄目になる」と思い、勉強を再開しようと決心しました。
しかし、10年のブランクは大きく、難しい本にかじりつく気力がなかなか湧きません。ついついパチスロや競輪に逃げてしまい、自分で自分が嫌になります。養老先生は、お年を召してなお活発に知的生産活動をされていますが、気力が湧かなくなったことはございませんか? そんなときの、よいリカバリー策があったら、ぜひ教えてください。(千葉県 アルバイト 73歳)
【養老孟司先生の回答】
難しい書物を読み、頑張って難解な哲学思想を理解したい―。なんだか私の若い頃に似ていますね。
でも私は今、気力が湧かないことに悩みません。そもそもやりたくないことには、やる気がないし、駄目だと思ったことは、すぐに諦めます。本当にやりたいと思っていることは、文字通りやりたいこと...