日本の宝である着物の良さを若い世代に伝えようと、鳥取市の女性が取り組む「着物リメーク」が注目を集めている。古い着物が捨てられる現状や、生産側は売れる洋服しか作らず消費者も画一的なファストファッションを享受する現代の風潮を憂慮。時代を経た着物を現代風のデザインの洋服によみがえらせ、県内外から注文が寄せられている。
ミシンアート紡(鳥取市二階町1丁目)の加藤洋子代表(72)が手がける着物リメークは、日常生活で使っても違和感のないデザインが人気だ。専修学校服飾教員の資格を持ち、これまでも新たな洋裁の魅力の発信や普及に努めてきた。
着物リメークの注文を受け始めたのは5年ほど前。地域の人から「母や祖母の代からの着物がタンスに眠っているが、捨てるには忍びない。どうすればいいだろうか」と相談を受けたことがきっかけだった。
「昔の着物に使われている絹は海外製品に比べて光沢があり、ずっしりと丈夫。染色技術もイタリアに並んで素晴らしく、半世紀経過しても劣化がない」。リメークは糸をほどく作業から始めるが、ほとんどがミシンで縫ってある洋服に対し、着物は全てが丁寧に手縫いされている。日本の伝統と手仕事の素晴らしさを伝えるための挑戦が始まった。