日本を代表する作曲家・伊福部昭氏(1914~2006年)の功績を顕彰する「伊福部昭記念館」の開館記念コンサートが1日、鳥取市河内の同館で開かれた。古民家を改修した同館に伊福部氏とゆかりのある音楽家らが駆けつけ、伊福部氏が作曲した映画「ゴジラ」のテーマやクラシックの名曲などを演奏。7月の開館を前に、伊福部氏の功績を地元住民らにいち早くお披露目した。
伊福部氏は代々宇倍神社(同市国府町)の神職を務めた家系で、北海道生まれだが本籍は鳥取県。同市国府町の墓に眠っている。
伊福部氏の生誕110年に合わせ、長女の伊福部玲さん(79)と孫の帥(かしら)さん(54)が貴重な自筆楽譜などの資料を保管展示する記念館の開設を計画。伊福部氏と親交の深かった世界的バイオリニストの小林武史さん(93)に開館記念の演奏を呼びかけたところ、複数の音楽家によるコンサートに発展した。
コンサートは叙情的なピアノとバイオリンによる組曲「因幡万葉の歌五首」でスタート。アイヌ文化が色濃く反映された歌曲や、日本のわらべ歌や盆踊りを想起させるピアノ組曲など、伊福部音楽を象徴する民族性豊かな楽曲が披露された。小林氏が最後に「ゴジラ」を演奏すると、記念館は100人を超える聴衆の大きな拍手で満たされた。
玲さんは「父の思い出がよみがえる素晴らしい演奏だった」と感無量の様子。館長に任命された小林さんは「ここで『世界の伊福部』を知り、皆で演奏して広めてほしい」と話した。
伊福部氏が少年時代を過ごし、記念碑や資料展示などで功績を伝えている北海道音更町からも小野信次町長らが訪れた。小野町長は「ここは伊福部先生の歴史が分かる原点とも言える場所。自然豊かな音更町と共通する。今後も資料の交換など交流を続けたい」と話した。
記念館は7月1日から期間限定で開館する。8日以降は企画を検討中。午前10時~午後4時。