日野町のふるさと納税の返礼品の一つで、JR西日本と連携して初めて提供したJR根雨駅(日野町根雨)の「一日駅員体験」が26日行われ、山陰に移住を検討する東京都の電車運転士の男性が、駅員ならではの業務を体験した。JRの制服に身を包んだ男性は20年ぶりに列車の出発合図をしたり、構内放送をするなどして駅員を満喫した。
体験したのは、東京都練馬区の矢中淳さん(49)。首都圏を走る私鉄の現役運転士だ。第二の人生を山陰で送ろうと考えていて、「JR西日本で社会人採用が始まり、会社の雰囲気を知りたい」と申し込んだ。「山陰にはしょっちゅう来ているが日野町は初めて。根雨駅は落ち着いて雰囲気のいい駅舎」と印象を語った。
JR山陰支社の大東幸治課長から委嘱状を受け取った後、切符販売や改札業務、構内放送などを体験。同駅の和田隆駅長からレクチャーを受け、特急やくもの出発合図にも挑戦した。矢中さんは「出発合図は駅員時代以来、約20年ぶり。緊張したが、体が覚えていた」と話した。
駅員体験は、町の玄関口である根雨駅での体験を通して、同町のPRやJRの利用促進、寄付額の向上につなげようと実施。4月12~5月15日に根雨駅の一日駅長と駅係員体験(最大計8人)を出品し唯一、駅係員体験に応募があった。
矢中さんは「これだけ本格的な内容なら、10万円の寄付額でも割安感がある」と満足げだった。
同町企画政策課の生田翔平主任は「鉄道の持つ魅力は大きく、日野町を知っていただく良いきっかけになった。今回の成果を分析し、第2弾、3弾につなげていけたら」と語った。