鳥取県西部で14日に開催された「第42回全日本トライアスロン皆生大会」(皆生トライアスロン協会主催、新日本海新聞社特別後援)では、熱中症の重症化を防ぐための「アイスバス」が初めて導入された。雨と低温により、本格的な利用は来年以降に持ち越されたが、関係者は選手の生命を守る取り組みとして期待する。
灼熱(しゃくねつ)の大会として知られる皆生大会だが、近年は最高気温が35度に迫ることもあり、さすがの鉄人たちもレース途中で体調不良を訴えるケースが増えていた。このため、初めて選手の救護や給水などに当たる主要なエイドステーション5カ所に設置することにした。
境港市竹内団地のエイドステーションには、救護用テント内に縦2・2メートル、横1・5メートルの簡易プールが用意され、深さ30センチほどの水を張り、消防局の職員や看護師などのスタッフが万が一の事態に備えた。
全身を冷たい水に漬けるアイスバスは、体力回復や熱中症の重症化を防ぐ手段として五輪大会など国内外の競技の場で導入が進む。医療部のスタッフとして参加した鳥取大付属病院の美野陽一医師は「全身冷却できるので短時間で効率よく体を冷やすことができる」と効果に期待する。
ただ、この日は雨が降り続き、境港市でも最高気温は26・1度とそれほど上がらず、適度な風も吹いたため、午後4時の時点で幸いにもこの場所での利用者は1人もいなかった。
いきなりの活躍とはならなかったが、競技委員会の野嶋功副競技委員長は「選手はトレーニングを積んで大会に臨んでいるが、近年の高温は命に関わる危険もある。重症者を出さないためにも今後も続けたい」と話す。