2019年7月の京都アニメーション放火殺人事件で犠牲になった渡辺美希子さん=当時35歳=の母親の達子さん(74)、兄の勇さん(45)=滋賀県在住=が31日、鳥取市のとりぎん文化会館で講演し、犯罪被害者遺族らに対するカウンセリングの必要性を説いた。
2人は、美希子さんが手掛けた作品を前に講演した。達子さんは「寂しい、悲しいぐちゃぐちゃした気持ちの行く先はどこなのかと考えずにはいられない。そのこともカウンセリングで話した」とカウンセラーとのやりとりに言及。勇さんは「母はカウンセリングを受ける選択をしたが、僕は(当初)断った。病んでいることを認めたくない思いがあった」と切り出し、カウンセリングのありようについて「(当事者が)落ち着いた時に声をかけてくれる環境は大事だ」と訴えた。
講演はとっとり被害者支援センターが主催。聴講した鳥取県職員の吉田崇史さん(33)は「人ごとではないと思う。講演内容を家族で共有したい」と話していた。