争いの歴史、平和願う 広島県知事 スピーチに「青谷上寺地」

 広島市で6日に催された原爆死没者慰霊式・平和祈念式で、核廃絶と世界の恒久平和を願う湯崎英彦広島県知事のスピーチに、鳥取市青谷町の国史跡「青谷上寺地遺跡」が登場し、鳥取県内の関係者からは驚きの声が上がっている。

 「先般、数多の弥生人の遺骨が発掘されている青谷上寺地遺跡を訪問する機会を得た」と切り出した湯崎知事。「頭蓋骨や腰骨に突き刺さった矢尻など当時の争いの生々しさを物語る多くの殺傷痕を目の当たりにし、必ずしも平穏ではなかった当時の暮らしに思いを巡らせた」と述懐した。

 さらに「現在も世界中で戦争は続いている。現代では矢尻や刀ではなく、男も女も子どもも老人も銃弾で撃ち抜かれ、あるいはミサイルで粉々にされる。国連が作っていた世界の秩序の守護者たるべき大国が公然と国際法違反の侵攻や力による現状変更を試みる。それが弥生の過去から続いている現実だ」と続けた。

 弥生時代の集落遺跡である青谷上寺地遺跡からは、鉄製武器による殺傷痕の残る人骨も多数出土し、当時から集団間の武力衝突があったことがうかがえる。

 人骨や土器などを展示する鳥取県立青谷かみじち史跡公園(鳥取市青谷町吉川)によると、5月22日に中国地方知事会のため集まった中国5県の知事が施設内を見学したという。

 同公園の西村芳将所長は「湯崎知事は、矢傷の跡のある頭蓋骨や矢尻が刺さった腰骨に強烈な印象を持たれたと思う。争いの歴史を学び、平和の重要性に気付いてもらえる施設。言及していただいたことを厳粛に受け止める」と語った。

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