青野ダムのバス釣り
100年前、実業家の赤星鉄馬氏がアメリカから飛行機で苦労して持ち帰った日本初上陸の北米原産ブラックバスは数十尾だった。
「日本における魚のシンボルのようなアユが全滅してしまう」。この魚の養殖を事業化しようとした計画に対して、当時の著名な動物学者石川千代松博士が大反対した。「健全な生態系を破壊しアユが全滅…」の警鐘に、アユ釣りを愛する釣り人たちが敏感に反応し、先陣を切って反対の大合唱を唱えたらしい。
芦ノ湖をはじめ、ごく限られた湖にしかいなかったブラックバスは、燎原(りょうげん)の火のように増え続け、今では全国の河川や湖沼に分布している。健全な生態系とは、生物間における食うか食われるかの均衡が相互関係のなかで継続的に安定した状態を保っていることを言う。これには水質や植生などの要因も大きく関係するであろうが、日本在来の小生物たちは、突然外国から侵入してきたブラックバスからわが身を守るシステムを遺伝的に持っていなかった。
しかし、ブラックバスなどの外来魚は自然に分布を広げていったのかというと、実はそうではなく、人の手によるものがほとんどと言っても差し支えがない。
いきなりルアーが
3日、交野市の中野陽一さんは、兵庫県青野ダムにブラックバスのランカーサイズを狙って午前3時に自宅を出発。この青野ダムは、関西圏では大物が釣れる実績場として人気が高く、多くのバサーが訪れる人気スポットだ。途中のコンビニで朝食を調達し、いつもの休憩場所で時間調整をしながら午前7時に青野ダムに到着。「池の状態は悪くなさそう。今日は釣れる!と予感がしました。釣る前はいつも釣れる!と予感がしますが…」と中野さん。
「岡っぱり」と呼ばれる岸を移動しながら釣り歩くスタイルでとにかく釣り始めた。小さいバイトは時々出るものの、小バスかブルーギルっぽい。移動を繰り返してチェックするがアタリがない。1時間ほど過ぎたころ、流木の向こう側にトップウオータープラグを入れ、ポーズをおいた後に誘いをかけるとすぐにヒット。サイズは32センチ。しかし、あとが続かない。集中力が途切れ、惰性で釣っているような弛緩(しかん)した時間が過ぎた。
午後2時を過ぎたころだった。シャローを避け、岸ギリギリに木が覆いかぶさっている木の下にルアーをキャストした。いきなりルアーが水中に引き込まれた。「これはいいサイズだ!」。思わず声が出たという。バラさないように慎重にやりとりしてゲットしたサイズはジャスト50センチ。ハリ傷もないきれいな魚体のバスをしばらくながめて、撮影用にキープ。結局、この日は、28~35センチを3尾追加しゲームオーバーとなった。
週末のイチオシ気配
■船①■西宮・兵庫
タイ1日便期待。同魚30~45センチ1~5尾にハマチ1~2尾交じる。別便の午前タコ便は5~10パイが竿頭。要予約。▽釣り人家=電話090(8794)1091
■船②■比井・和歌山
日の岬沖トフに出船して良型イサギスタート。同魚30~40センチ20~30尾竿頭が上昇必至。吹き流し3本針、オモリ120号。要予約。▽岬丸=電話0738(64)2975
■船③■鷹巣沖・福井
鷹巣沖でマダイ(40~60センチ)好調。同魚35~65センチ5~10尾に潮によりイサギ10~20尾、アジ1~10尾交じる。エサはオキアミ。要予約。▽アラタニ釣具店=電話0776(85)1604
■船④■家島・兵庫
家島沖のキス期待。良型が交じる(25センチ超)。毎年、5月初旬20尾前後が後半にかけて50尾に上昇する。要予約。▽山本丸=電話090(7961)3607
■磯①■周参見・和歌山
比較的近場で数に交じってグレ40センチが期待できる釣り場なら周参見がいい。シオフキ島、スズキアジロ、オオギシ島が有望。▽岩元渡船=電話0739(55)2227
■磯②■尾鷲・三重
ようやくグレの気配が出てきた。40センチ台が姿見せる。他にイガミ専門に狙えば30~40センチ5~10尾。▽宮城野渡船=電話090(2186)3313
■カセ■串本・和歌山
マダイの大型期待できる。5月中旬以降に70センチ台の大型登場必至。天秤フカセ、完全フカセともハリス6号。エサはオキアミ。▽河田フィッシング=電話090(2709)9282
■波止①■田ノ浦漁港・和歌山
内向き浮き桟橋でハネ50センチ超2~5尾釣れている。アジ、イワシなどの回遊も度々あるので、サビキ仕掛けも持参したい。▽フィッシングMAX和歌山インター店=電話0734(73)5858
■波止②■南芦屋浜・兵庫
エビ撒き釣りや青イソメのブッ込釣りでハネ40~70センチ1~3尾。飛ばしサビキでアジ15~20センチ15~30尾。▽フィッシングMAX芦屋店=電話0797(34)4848
■波止③■西宮ケーソン・兵庫
ハネは、尼崎、鳴尾浜、甲子園浜、西宮浜あたりが好調。武庫川一文字で40~65センチ3~8尾、大阪北港で40~65センチ3~7尾、西宮ケーソンでも同様の釣果が続いている。▽フィッシングMAX武庫川店=電話06(6411)4848
(大阪日日APG 松田勝也)