「夫が帰宅しない」
先月初めであったように思うが、伊豆の石廊崎でライフジャケットを着けた50代の釣り人が磯から転落した。1時間後に沖合100メートルの海上を漂流する男性が発見されたが搬送先の病院で死亡が確認されたという。ベストタイプのライフジャケットを着用していたらしいが、男性に目立った外傷はなかったというから転落時に頭を打ったわけではなさそうだ。ライフジャケット着用時の死亡率が13%に対し、非着用は61%という。この数字から学ぶことは着用した方が圧倒的に助かるが、それとて必ず助かるわけではないと肝に銘じなければなるまい。
危険な場面がある
先月、岐阜県長良川でアユ釣りをしていた人が流され、下流の浅瀬で溺死体で発見された。前日に男性の妻から「アユ釣りに出かけた夫が帰宅しない」と通報があり、捜索中であったらしい。磯釣りの海中転落は想像できるが、意外にアユ釣りも死亡事故が多いということは知られていない。解禁などのニュースで足首ほど水につかって釣るような釣り姿が度々放映されるので、経験のない人はあの映像と同じようなロケーションで釣りをしていると想像しがちである。
球磨川では胸までつかって釣るようなポイントが多いらしい。九頭竜川でも深いポイントが比較的多いと聞く。当然事故も多い。もう一つは、ダムのある釣り場が増水時に放水するので急な水位の上昇を招き、事故がある。磯釣りもアユの友釣りも釣り人自身が「結構危険な場面がある」と感じていても、家人が心配するのでそのリスクを過少に伝えている場合が多いようだ。
濁流が荒れ狂う
「まさに間一髪」という言葉が何度も出てきた釣友の体験の顛末(てんまつ)はこうだった。
「前日、かなりの雨が降りました。古座川に出かけて、中州で釣っていましたが、前日に続いてこの日もよく釣れて、この時点で40~50尾釣れていたでしょうか…。サイレンが鳴りました。ダムの放水時に危険を知らせるためにサイレンを鳴らしますが、周囲の状況から急な増水が押し寄せるとは思っていませんでした」
よく釣れているときは微妙な自然の変化を見落としがちであるが「頭を出している石の喫水が少し上がったような気もするし、少し追いも悪くなったからとりあえず上がろう。そう思って車まで帰りました。着替えて、車を走らせ川に目をやると、すさまじい濁流が荒れ狂っています。もう、5分遅れていたら…と思うとぞっとしました」。
よく釣れるときほど釣果に夢中になって、水位のわずかの変化を見逃し大惨事になっていたに違いない。これからは友釣りのベストシーズンであるが、オトリを購入する際、水況の確認などを十分行い、石の喫水に注意して安全を担保しよう。
釣りはしょせん遊び。命を懸けてまですることではないと、事故に遭ってから気付くようではあとの祭りだ。
週末のイチオシ気配
■船①■比井・和歌山
お待ちかね半夜のアカイカ群れが入った模様。11日半夜、胴長13~30センチ123ハイが竿頭。浮スッテ2.5号、オモリ80号。要予約。▽岬丸=電話0738(64)2975
■船②■小浜・福井
マイカ回遊。11日半夜、小浜沖に9人が出て同魚胴長10~37センチ11~32杯。しばらく同様の釣果見込める。要予約。▽村古・心共丸=電話0770(52)0784
■船③■明石・兵庫
二見沖に出船するおいしいマダコ期待。0.4~2.5キロ15~20杯見込める。タコジグ使用。オモリ50号。要予約。▽丸松乗合船=電話090(6981)4620
■船④■須磨・兵庫
キス堅調。12日、須磨沖に出て同魚16~23センチ37尾が竿頭。2番竿36尾。3番竿34尾。エサは、青イソメ。要予約。▽仙正丸=電話078(731)4536
■磯①■紀伊長島・三重
イシダイが期待。過去のデータから60センチオーバーが7月後半には度々登場。大島など沖磯が有望。沖向き遠投で。エサはヤドカリなど。▽石倉渡船=電話05974(7)0712
■磯②■大引・和歌山
イシダイ連発。ヒジキで同45センチ、50センチと2尾。エサはウニとサザエ。アシカの子のカゴ釣りでイサギ25~35センチ5~10尾。水温23~24度。▽村井渡船=電話0738(65)1041
■筏①■栖原・和歌山
連日、チヌ40センチまでがコンスタントに姿を見せるようになった。12日、湾内の筏で同魚35~45センチ4尾。エサはオキアミ。▽かるも丸=電話0737(62)3527
■筏②■戸津井・和歌山
アイゴ上向き。12日、湾内筏で同魚25~35センチ12尾とカワハギ20~25センチ3尾。エサは、酒カスと青イソメ。▽つるしま丸=電話0738(66)0234
■波止①■北港・大阪
落とし込み絶好調持続。舞洲でチヌ30~50センチ20~45尾。他にエビ撒き釣りでハネ40~60センチ1~3尾、探り釣りでマダコ200~300グラム3~8杯。▽ヤザワ渡船=電話06(6573)7712
■SW■大阪湾全域・大阪
大雨が降れば各河口付近でハネの爆釣必至。小魚などが押し流されてくるものを待ち受けている。小河川の河口がポイント絞り込みやすい。▽MAX岸和田=電話072(436)2828
(大阪日日APG 川崎禎昭)