長年の懸案となっている鳥取県米子―境港間の高規格道路の整備を巡り、国土交通省と県、沿線市村が整備の方向性を検討する「米子・境港地域道路整備勉強会」が22日、米子市内であった。物流・産業や防災、観光、医療、安全の各観点から圏域の課題を検証した結果、同区間で高規格道路を整備することが「必要」と結論付けた。整備後は境港-大阪間が現状より23分短縮するとの試算も示された。今後、国と県、市村が連携し、次のステップとなる概略ルートや構造を検討していくことを確認した。
今回の取りまとめを受け、早ければ新年度にもルート案を選定する「計画段階評価」手続きに進むとみられ、整備手続きが具体化する。米子-境港間は生活交通と通過交通が重なり慢性的な渋滞が発生しており、早期整備が求められる。
会議では、同省倉吉河川国道事務所と県が米子-境港間の課題を説明。境港-米子インターチェンジ(IC)間は所要時間が30分以上かかるため物流や救急搬送の速達性が確保されず、周遊観光の充実も図られていないと指摘した。液状化リスクが高い弓ケ浜半島は災害時に孤立する可能性があることや、人口密集地区で死傷事故率が高くなっていることも挙げた。
その上で、①産業の活性化②災害対応力の強化③広域周遊観光の促進④救急医療機関への速達性の向上⑤交通安全の確保―を実現するために高規格道路が必要と取りまとめた。
また、米子、境港両市、日吉津村の意見を基に、ルートを検討する上で「配慮すべき事項」を取りまとめた。市街地を通過することから、各産業や農業への影響▽工事に伴う既存道路での渋滞の深刻化▽道路整備による集落や地域の分断-などに配慮して検討を進めていく方針を確認した。
同事務所の高橋渉所長は「いろいろな観点から必要性が確認できた。懸念される部分も十分に検討し、住民の声をしっかり聞かせていただき進めていきたい」と述べた。