JR伯備線を走る貨物列車と沿線風景をカメラで捉えた「伯備線貨物写真集」が、今井出版から刊行された。中国山地の山あいを重厚な音とともに走り抜ける国鉄型のEF64形電気機関車、通称“山男”の勇猛な姿を切り取った写真がファンの注目を集めている。
鉄道に焦点を当てた山陰鉄道シリーズの第11弾。中国地方在住のアマチュア写真家5人が撮影した111点を収録した。大量のコンテナを載せた貨車をけん引する電気機関車が、紅葉に染まる渓谷や雪化粧の田園地帯を力強く走り抜ける姿を臨場感たっぷりに切り取っている。
1960年代に伯備線で活躍した蒸気機関車D51や、車の輸送で活躍したコキ71形貨車の写真も収録。王子製紙米子工場に引き込まれた専用路線にも密着し、工場での製品積み込み作業や、伯耆大山駅での機関車との連結作業を取材した貴重な写真も掲載している。
担当編集者の津田千鶴佳さんは「地域の暮らしや山陰の産業を支えている貨物列車の役割を改めて感じてもらい、沿線を彩る地元の美しい風景を大切にしたいという気付きにもつながれば」と話した。
今井書店各店やインターネットなどで販売。108ページ、3300円。