アフガニスタンで人道支援に取り組んだ中村哲医師が、東部ナンガルハル州で何者かに銃撃されて亡くなってから、この12月4日で5年となった。
5年といえばそれなりの歳月だが、現地ではいまだに中村医師を慕う声があちこちで聞かれるという。また、中村医師が現地代表をつとめていた福岡市の非政府組織(NGO)「ペシャワール会」はその後も事業を継続させており、12月3日には中村さんと共に働いたスタッフや日本から訪れた関係者らも見守る中、新たな用水路の通水式が行われた。そして命日にあたる4日には追悼の催しが行われ、集まったおよそ90人が中村医師をしのびつつ、今後の活動への決意を新たにしたという。
個人的な話になるが、私自身、5年前のこの銃撃事件に大きな衝撃を受け、それが直接のきっかけとなって「医療従事者としてもっと社会に貢献したい」と考え、現在のへき地診療所で働き始めることとなった。いまだに中村医師が遺(のこ)した書籍を読み返しては、気持ちを奮い立たせている。このように中村医師に心を動かされ、生き方を変えたのは私だけではないだろう。
なぜ、中村医師はこの世を去ってからも多くの人を動かし続けられるのか。理...