子どもに振り回され、支配される関係ができ上がってしまった家庭で、親はどうやって、子どもの“暴走”を食い止めればよいのか。ススキノの事件は私たちに困難を抱える家族のあり方について考えさせる。
「ススキノの事件」とは、2023年7月、札幌市・ススキノのホテルで男性が殺害され、親子3人が逮捕された事件を指す。男性とホテルに入った娘が殺人などの罪で起訴されているのだが、その手助けをした父親についての裁判員裁判も進められ、3月12日に懲役1年4月、執行猶予4年という判決が札幌地裁で下された。
この事件が特異なのは、父親は娘が遺体の頭部を自宅に持ち帰り浴室に隠したことを知っていたこと、さらにはそれを損壊する行為をビデオ撮影までしたことだ。「死体遺棄ほう助」と「死体損壊ほう助」が有罪となり、殺人や切断行為のほう助については「(娘が)殺人に及ぶことを父親が事前に認識していたとまでは言えない」として認められなかった。「父親は娘の被告の犯行を阻止できる唯一の立場にあったが黙認した」と指摘した上で「実刑にすべきとはまで言いがたい」と執行猶予付きの判決を言い渡した。
この家庭では長期間、いくつもの人格が交代...