川鵜対策にドローン活用
いよいよ5月26日から日置川など関西の有力河川が解禁する。待ちきれないファンの心理を巧みに突いた「早期解禁」なる河川も数年前から現れるほどアユ釣り師にとって解禁は小学生がお正月を楽しみにするようなもの。指折り数えてその日を待つ。
猛然とタックル
アユは、晩秋に下流の砂混じりの砂利底に産卵し、約2週間でふ化した子は海に下る。産卵を終えた親は、疲弊した体を波間に漂わせて、鳥や他の魚の餌食になって1年の生涯を終わるので、香魚の他に年魚ともいわれる。
海に下った子アユは、波の静かな沿海域を群泳し、プランクトンをエサとして育ちつつ越冬する。春になり川水の温度がぬるむと、5~7センチに成長した稚アユは慕いよって集まり、やがて大小の群れとなって川を遡上(そじょう)する。遡上の途中にはさまざまな障害があるが、かれんな稚アユがひたすら上流に向かうさまは、本能とはいえ涙ぐましさすら感じるのは私だけではないはずだ。その最初の集団を「一番のぼり」という。
やがて石底地帯に達すると、珪藻(けいそう)類の植物食に変わる。釣り人は、この石につく珪藻類をアカと呼び、その食料の占有を脅かす侵入者を猛然とタックルし、撃退するアユの習性を巧みに利用した釣りが友釣りだ。
推奨8河川
その開幕に備えて、この「釣れ釣れ草」の欄でも毎年この時期になると釣況予想を行うが、ベテラン諸氏の情報と天然遡上の様子や放流量を漁協から聞き取り、勘案している。しかし、シーズンに突入すると、大きくその予想が下回ることがある。それは冷水病と川鵜の影響が読み切れないからだ。
令和元年であったであろうか、有田川で群れアユが数羽の川鵜に襲われている様子を目撃した。冷水病については耐性のある種苗の導入など一定の対策が講じられてきたが、川鵜に関しては有効な対策もないままに運を天に任せるようなありさまであった。繁殖期になると1日に2キロのアユを捕食するというからその漁業被害(一説100億円とも言われる)は計り知れない。
救世主が現れた。ドローンに搭載したスピーカーで威嚇し追い払う、巣にドライアイスを投入し卵を冷却してふ化を止めるという方法が実証実験で有効であると明らかになった。
川鵜のコロニーは樹上に巣を作るため、人による作業にも危険が伴い、その繁殖抑制にも限界があったが、これで視界は開けた。漁協の現場からも「ドローンの活用は助かる。物価高の影響で稚魚の単価は値上がりしており、食害の抑止につながってほしい」期待の声が上がっている。
とにかく、名人たちに推奨していただいた長瀬太郎生川、安曇川朽木、足羽川、日野川と、実績から日置川、古座川、熊野川、岸田川を加えて「2023釣れ釣れ草 推奨8河川」とする。
週末のイチオシ気配
■船①■北港・大阪
24日、神戸沖のマアジショート便で同魚15~25センチ53尾が竿頭、2番竿35尾。サビキ仕掛け8号、オモリ30号ドンブリカゴ。要予約。▽ヤザワ渡船=電話06(6573)7712
■船②■栖原・和歌山
カワハギが堅調。24日、同魚18~28センチ56尾。胴つき3本針、オモリ30号。エサはアサリまたはシラサエビ。要予約。▽かるも丸=電話0737(62)3527
■船③■阿尾・和歌山
日の岬沖のトフに出船してイサギが好調。このポイントは型がそろう。24日、同魚30~43センチ89尾が竿頭。オモリ120号。要予約。▽岬丸=電話0738(64)2975
■船④■湯浅・和歌山
日ノ岬沖に出て良型平アジ(35~45センチ)20~30尾見込める。他に良型(40センチ超)マサバ2~5尾交じる。エサはアミエビ。要予約。▽玉市丸=電話0737(63)6424
■磯①■大引・和歌山
グレ上昇気配。30~45センチ5~10尾。アシカの子、ヒジキの裏チョボ、オオクラなどの実績場が有望。水温21度。▽村井渡船=電話0738(65)1041
■磯②■周参見・和歌山
グレが比較的近場で数(25~33センチ3~7尾)に交じって40センチが期待できる釣り場なら周参見がいい。シオフキ島、カツオ島が有望。▽岩元渡船=電話0739(55)2227
■ボート■紀伊長島・三重
キス上昇気配。同魚20センチまでが30尾を超える釣果が出だした。24日、ヤエンのアオリイカは1.6キロまでを4ハイ。要予約。▽石倉渡船=電話05974(7)0712
■筏■堂ノ浦・徳島
湾口カセでチヌ堅調。24日、同所のダンゴ釣りで同魚30~40センチ10尾。他に呑ませのヒラメで35~50センチ1~2尾狙える。▽斎藤渡船=電話088(688)0453
■波止①■大阪・大阪北港
落とし込みのチヌ好調。同魚40~50センチ5~10尾。他にルアーでシーバス50~70センチ1~3尾、タコジグで500~700グラム2~5ハイ見込める。▽ヤザワ渡船=電話06(6573)7712
■波止②■武庫川一文字・兵庫
際を狙うズボ釣りでスズキ級(65~75センチ2~4尾)が狙える。エサはキビナゴ。「掛かれば大型サイズが多いので、リールはフリーにしておいて下さい」と渡船店談。▽武庫川渡船=電話06(6430)6519
(大阪日日APG 錦 剛司)