女性釣り師デビュー

大森均の釣れ釣れ草

播磨灘で良型タコ6ハイ

 明石のタコは別格のブランドだ。当然のことながらブランドの由縁はおいしいからに他ならない。おいしいその理由は、瀬戸内海の環境にある。明石海峡から播磨灘は、タコの好物であるカニやエビが豊富であることが一つ。さらに海峡は潮の流れが強いため、タコの運動量が自然に豊富になることがもう一つの理由だ。「明石のタコは立って歩く」という言葉もあるほど、おいしいことを例えるその手の話には枚挙にいとまがない。

 釣り方は、この数年で一気にタコエギと呼ばれるエビを模したルアーが主流になっている。竿(さお)先を震わせてシェイクしたり、そっと持ち上げたりすると、タコが乗って重みが伝わる。そこで一気に底からはがすつもりで掛けあわせて釣り上げる。動作は簡単であるが、すべての同乗の釣り人が同じような釣果を得るかというと、そうでないから釣りはおもしろい。8月中旬までが最盛期で、これからさらに釣況が上向く。

相当な集中力

 高槻市の畑麻子さんは、夫婦で知人に導かれタコ釣りにデビューするはずだった。しかし、直前に御主人が仕事の都合で行けなくなった。普通、このケースは奥さまも断念し次回に…となるはず。しかし「初めての事柄には率先して向かうタイプです」とおっしゃる前向きな畑さんは、出撃の陣太鼓を鳴らした。

 この知人とは、このコラムに最も多く名前の登場するあの松田勝也さんだ。私が知り合ったこの30年でも何人もの「釣り狂い」を誕生させた下手人でもある。

 5月22日、引きずり込まれたもう一人のTさんと3人で早朝5時に本庄港を出た。

 ポイントに着いて師匠から一通りの指導を受け釣り始めたという。釣りのビギナーズラックにはある程度の必然がある。それは、教えられた通り素直に向き合うことがその結果をもたらすからだ。兄弟子にあたるTさんを横目に先んじて良型のタコが畑さんに来た。また来た。この日、終わってみると20人ほど乗り合わせた中で2番目の6ハイを釣り上げていた。

 この釣り大ベテランの師匠が竿頭で7ハイであったことからも並みのビギナーズラックではないことに加え、畑さんは相当な集中力を維持し続けたことがうかがえる。

タコ尽くし

 刺し身、タコ飯、タコワサ、塩こうじ漬け、肝煮、みそ汁など多彩な料理で堪能したらしいが、「タコ尽くしディナーにしても釣果の2割ほどしか使っていませんので、あとは実家にもお裾分けして残りは少しずつ楽しむつもりです」と、畑さん。師匠の松田さんによると「畑さんは、絵画はもちろん、流木でアートを表現するなどマルチな才能を有した芸術家です。料理もうまいし、何をしてもセンスがいいのですが、釣りも見込みがあります」と絶賛していた。

週末のイチオシ気配

■船①■阿尾・和歌山

 日の岬沖のトフに出船してイサギが本格化。同魚30~40センチ40~60尾見込める。ハリス3号、テンビン3本針、オモリ120号。要予約。▽岬旅館=電話0738(64)2975

■船②■明石・兵庫

 マダコ期待。連日、同魚0.3~2.0キロ15~20尾が竿頭。タコエギ仕掛け、オモリ50号。別船でショウサイフグ20~40センチ15~30尾。要予約。▽名田屋乗合船=電話078(912)7211

■船③■田辺・和歌山

 波浪ブイへカツオ回遊。31日、同魚2~3キロ級14尾が竿頭。2番竿13尾2人、4番竿11尾2人。要予約。▽海凰丸=電話090(6242)8507

■船④■宮津・京都

 アコウ好調。31日、経ケ岬周辺に出た2人連れが同魚23~44センチ53尾とガシラ22~40センチ82尾、黒金メバル22~27センチ14尾。要予約。▽一心丸=電話0772(28)0476

■磯①■大引・和歌山

 梅雨グレシーズンイン。アシカの子で同魚30~40センチ5尾前後にイサギ23~35センチ5~10尾。各磯で底物の気配も濃厚。水温20度。▽村井渡船=電話0738(65)1041

■磯②■梶賀・三重

 底物の動き活発。エサはサザエ。他にフカセ釣りでグレ40センチ超が出るようになった。他にアオリイカ胴長30~40センチ2ハイ程度。▽榎本渡船=0597(27)2211

■ボート■紀伊長島・三重

 ボート釣りでキスが釣れだした。キス12~23センチ20~40尾。手漕ぎボート50艘、船外機付ボート25艘あり。要予約。▽石倉渡船=電話05974(7)0712

■筏■本浦・三重

 良型チヌそろう。連日40センチ後半が顔を見せる。30~50センチ2~5尾見込める。エサ盗りはフグ、アジ、ハゲ。▽やま栄渡船=電話0599(32)6009

■カセ■串本・和歌山

 カセでグレ35~40センチの良型が5~10尾。エサ盗り対策にネリエが断然有利。他には別ポイントでマダイの天秤フカセで35~50センチ1~3尾。▽大裕丸=電話0735(65)0603

■波止■大阪・大阪北港

 夢洲で落とし込みのチヌ絶好調。31日、同魚35~49センチ33尾。前日には35~50センチ48尾の大釣りが出た。台風前後は期待できる。▽ヤザワ渡船=電話06(6573)7712

 (大阪日日APG 清水智之)

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