アユ初戦は有田川で21尾 大西名人との遭遇

大森均の釣れ釣れ草

 5月28日、門真市の福田義光さん(59)は、待ち焦がれていたアユの友釣り開幕を有田川で迎えた。

 早朝7時に自宅を出て、約1時間半で有田川に到着。金谷大橋のたもとにあるオトリ屋でオトリを調達し、さらに上流へ走った。川相が一変して、渓谷らしい景観が現れたあたりで、満員御礼札止め寸前のわずかに空いている場所を見つけ、とにかく釣り始めた。

流麗な竿さばき

 友釣りを始めて20年、自分ではかなりの腕前に上達したとひそかに自負していたが、8年前の2015年、あることをきっかけに自己評価を「駆け出しの部類」に修正することがあった。自分が攻め尽くしたポイントのやや上流に釣り座を移して釣り始めると、先ほどまで釣っていた場所に1人の釣り人が気配を殺して忍者のように入った。

 「どこかで見た顔やなぁ?」

 「あっー! 大西満や!」

 大西満さんとは、このコラムにも度々登場している磯釣り、渓流釣り、かかり釣り、アユ釣り、船釣りなどをこなすマルチプレーヤーで、昭和平成を代表する大名人だ。特に渓流釣りでは流友会を率いたあの佐古田修一さんが「西日本一の使い手」とその腕を称賛し、報知のアユ釣り選手権においては5期連続日本一を獲得して永世名人に輝いた。

 よもや雑誌やテレビに登場しているあの憧れの大名人と遭遇するとは思っていなかった福田さんは、「自分が釣りをしている場合ではないと思い、早速、竿(さお)を置いて離れて見学させてもらいました」とのこと。名人が移動する後を探偵が尾行するようについて行き、ほぼ半日、竿を置いて見とれていた。自分が攻めきれていなかった淵、瀬などから次々とアユを引きずり出す技量は普通ではなかった。アユから「ここに居ります」と電話がかかってくるかのごとくの釣れっぷり。流麗な竿さばき、一連の動作に無駄も隙もない。

 その結果、即、自分の技量を前出の評価に修正することになったらしい。

白い2本の矢が

 しかし、その時の半日の時間はその後の友釣り人生に確実に寄与した。

 この日、あの大名人が釣っていた同じ場所に立ち、その8年前をイメージしながらオトリを流れの緩い場所から放してやると、スーッと流心めがけて走っていった。かすかに尻尾を振って泳ぐのが見える。久しぶりの友釣りに笑みさえこぼれる。いきなりドンッときた。下流に向かって白い2本の矢が放たれたように走った。友釣りの至福の瞬間だ。17センチほどの背掛かりに「幸先よし」と思わず声が出た。

 役目を果たした最初のオトリと背掛かりの野アユを交換し、対岸の大きな石の手前へオトリを送り届けた。今度もドンッときたが、衝撃度はより大きい。慎重にすくい取りした2尾目も同サイズ。こんな調子で午後3時まで16~19センチを21尾とまずまずの釣果に「この日を楽しみに生きているようなものです」と、福田さんから満面の笑みがこぼれた。

週末のイチオシ気配

 ■船①■比井・和歌山
 トフに出るイサキ(30~40センチ)が好調。同魚40~50尾の竿頭がさらに上昇するはず。オモリ120号、吹き流し3本針。要予約。▽岬旅館=電話0738(64)2975

 ■船②■東二見・兵庫
 タコ堅調。鹿の瀬沖で0.5~2.5キロ10~20パイ前後見込めそう。タコエギ仕掛け、オモリ50号。要予約。▽西海丸=電話078(942)6480

 ■船③■若狭本郷・福井
 湾内でキス釣れだす。同魚13~24センチ20~30尾釣れているが、これから尻上がりによくなる。針8号、オモリ20号。要予約。▽はやし渡船=電話0770(77)0591

 ■船④■田辺・和歌山
 本カツオが今年はやや小ぶりながら数見込める。波浪ブイで同魚2~3キロ級10~15尾。10尾に1尾は3キロ超。要予約。▽海凰丸=電話090(6242)8507

 ■磯①■尾鷲・三重
 例年のデータからそろそろ半夜釣りで40センチオーバーが姿を見せるころだ。小山、茶ビン、ドマクラあたりがよさそう。▽柴山渡船=電話05972(2)5566 

 ■磯②■大引・和歌山
 梅雨グレ本格化目前。アシカの子やヒジキの裏チョボなどでは尾長グレ交じりで25~35センチが10尾前後とイサギ25センチ級10~20尾。▽村井渡船=電話0738(65)1041

 ■筏■堂の浦・徳島
 チヌ上向く。ウチノ海の筏で同魚25~40センチ5~10尾。エサは、オキアミ、サナギ、生ミック。エサ盗りの状況はフグ、ボラなど。▽斉藤渡船=電話090(3782)0837

 ■波止①■北港・大阪
 引き続き落とし込みのチヌ好調。同魚40~50センチ10~30尾が連日の竿頭。他にエビ撒き釣りでハネ40~60センチ2~4尾。▽ヤザワ渡船=電話06(6613)1075

 ■波止②■妻鹿・兵庫
 8番のフカセ釣りでグレ23~30センチが5~15尾とチヌ30~50センチ1~2尾。エサはオキアミ&石ゴカイ、ネリエ。▽日の出渡船=電話0792(46)3030

 ■SW■大阪湾全域・大阪
 まとまった雨の後、各河口付近でハネの爆釣必至。大量の雨でエサになる小魚などが押し流されてくるものを待ち受けている。小河川の河口がポイント絞込みやすい。▽マックス岸和田=電話072(436)2828

 (大阪日日APG 松田勝也)

同じカテゴリーの記事