絶品！骨酒の作り方
イワナは初夏がおいしい。うす紫色のフジの花が垂れ下がる時季のイワナは本当においしいというのが渓流釣り師の常識だ。渓魚をそんなに多く食べる機会のない私も、４月までなら「アマゴとイワナとどちらがおいしい？」と聞かれたらすかさず「アマゴ！」と答えるが、６月に入れば間違いなく「イワナ！」と答える。
水温が低い時季には痩せていた渓流魚は春を迎えてエサを飽食して成長する。晩秋の産卵に向けて、夏の終わりから精巣や卵巣が発達し始めると、それに栄養分がとられ次第に痩せていく。それまでの短い期間の今が一番おいしいという。外見上、同じように見える北海道にすむオショロコマは、厳密には亜種らしい。エゾイワナは降海するものをアメマスと呼び、陸封型のものをイワナと呼んでいる。とにかく、サケ科全般に言えることだが、親戚、きょうだいが多い、異化しやすい魚であることは間違いない。
目印が沖へ走る
５月２８日、４日前に降った大雨による増水を計算し、枚方市に住む柿本昌幸さんは石川県手取川の支流・直海谷（のみだに）川にイワナとアマゴを狙って出かけた。渇水の後に大雨が降ると、上流から渓魚のエサになるミミズや川虫が流れて一気に活性が上がる。渓流釣り師は、雨を期待するのはそんな理由による。
とにかく川原に下りてみると、新しい足跡が点々と…。先行者がいるようであったが、釣り残しがあるかもと期待して釣り始めた。
「まったくアタリがありませんでした。少し移動すると、昨日のものらしい足跡がびっしりと付いており、『昨日は釣れたやろなぁ』と、１日読み違えたことをこの時点では後悔しました」。移動しながら釣り続けたらしいが、お昼の休憩までには５～７センチのチビアマゴたった３尾の貧果だったという。もちろん、リリース。
休憩の後、トロ場のたまりにやや軽め、Ｇ４のオモリで仕掛けを投入すると…、目印が立ったのに流れない。「えっ、アタリか？」と軽く聞いてみると、「ククッとサカナの感触です。目印がグイーッと沖へ走りました。手前まで寄せてからゆっくり釣り上げ抜きで取り込みました。手計測で３５センチ。うす茶色の魚体に明るいオレンジ色の小班点が散らばる、よく肥えたイワナでした」と語る柿本さんは、その後イワナ１８～２２センチを２尾追加した。
弱火でカラカラに
「今頃のイワナはおいしいと言いますが、どう召し上がりました？」
「大きい３５センチは塩焼きで頂きましたが、小さい２尾は骨酒にしました」と柿本さん。
「えっ⁉ 塩焼きで食べた後に骨酒にするのではないのですか？」
「食べた後にかん酒を注げば、皮の焦げがはがれたりして酒は濁ります。作り方は下処理の際に血合いを丁寧にとり、弱火で時間をかけてカラカラになるまで焼きます。２０センチほどの魚１尾で２合くらいの骨酒が適量でしょうか。うま味が凝縮し、香りにも生臭みが残りません。絶品です。ぜひ、試してみてください」
週末のイチオシ気配
■船①■明石・兵庫
マダコ順調。連日０．４～．５キロのマダコ１５～２０杯が連日の竿頭（かんとう）。タコエギ、オモリ５０号。６月は火・水曜日が休業。要予約。▽名田屋乗合船＝電話０７８（９１２）７２１１
■船②■比井・和歌山
すこぶるおいしいイサキ（３０～４０センチ）が堅調。同魚２５～５０尾の竿頭。オモリ１２０号、吹き流し３本針。要予約。▽岬旅館＝電話０７３８（６４）２９７５
■船③■宮津・京都
高級魚アコウ釣れている。同魚２５～５０センチ２０～５０尾見込める。他にガシラが同数くらい、ヒラメ、黒金メバル、ソイなどが交じる。要予約。▽一心丸＝電話０７７２（２８）０４７６
■磯①■尾鷲・三重
梅雨グレ本番。この時季の荒れた日の内磯は、尾鷲のヒットパターン。全天候型の尾鷲は逃げる場所があるのでオススメ。グレ４０センチ超１～３尾期待できる。▽宮城野渡船＝電話０９０（２１８６）３３１３
■磯②■大引・和歌山
グレ動き活発。アシカの子で同魚３０～４０センチ５～８尾、他にイサギ２～３尾。ヒジキでグレ３０～３５センチ３～５尾。エサはオキアミボイル。水温２１～２２度。▽村井渡船＝電話０７３８（６５）１０４１
■筏①■栖原・和歌山
１４日、湾内筏のかかり釣りでチヌ３５～４５センチ６尾。ハリス２号。エサはオキアミ。エサ盗りは小サバとアイゴ。▽かるも丸＝電話０７３７（６２）３５２７
■筏②■堂の浦・徳島
ウタセエビのエビ撒き釣りでマダイ好調。湾内のカセで２人連れがマダイ３０～６０センチ７尾とキビレ３５～３８センチ３尾。▽斎藤渡船＝電話０８８（６８８）０４５３
■波止①■北港・大阪
チヌの落とし込み絶好調。連日、夢洲で同魚３５～５０センチ１０～３０尾の釣れっぷり。他にタコエギでマダコ５００グラムまでを１５～３０パイ。▽ヤザワ渡船＝電話０６（６５７３）７７１２
■波止②■岸和田一文字・大阪
沖の北のエビまき釣りでメバル、ガシラ、アコウなど合わせて１５～２０尾。他にタコジグでマダコ２００～５００グラム５～１０杯。▽岸和田渡船＝電話０７２（４３６）３９４９
（大阪日日ＡＰＧ 川﨑禎昭）
