6日に鳥取市内で開かれた第16回全国公募書道展「放哉を書く」の審査会では、線の太さや濃淡、かすれなどの表現力、句への理解力などを評価した。自由律俳句で独自の境地を切り開いた放哉の世界を多彩な書風で表現した作品が多く、審査員をうならせた。
日本詩文書作家協会の石飛博光会長や独立書人団参事の柴山抱海氏ら9人の審査員が会場で全作品を採点。上位作品を横一列に並べて見比べ、各賞の受賞者を決めた。
一般の部で大賞に選ばれた鳥取市江津の松本李南(本名・美由喜)さん(68)の作品について、柴山氏は「ここ数年、調和体の勉強をしてきた成果が出ている。調和した文句なしの作品」と絶賛。
高校の部大賞の鳥取東高3年、入江佑香さん(17)の作品について、石飛氏は「力感のある筆遣い。ここで満足せず、より大胆な表現を冒険して」と将来を期待した。
全ての作品を通し、柴山氏は「全体として力強い書風の作品が多かった。放哉の自由律の句にはどういった書き方が良いのか考え、時には自らを律しながら書を学んでほしい」と講評。4年ぶりに現地審査に参加した石飛氏は「リモートとは違い実際の作品の持つ迫力を感じた。今後は思い切った構成やスケールの大きい作品がもっと増えればいい」と話した。