さまざまな主題と独創性 「家」テーマの大伴家持大賞

 「家」をテーマに全国公募した短歌大会「第29回大伴家持大賞」は、14日の最終審査会で各賞が決まった。一般の部・受賞者の年齢層は32~94歳と幅広く、「我(わ)が家」「家持」「家事」などさまざまな主題の独創性あふれる作品がそろった。審査員らは「工夫のある作品が多かった」「多面的な題詠が増えている」と述べ、「来年にも期待できる」と評した。

 一般の部の大賞に選ばれた山口茂樹さん(71)=岩美町=の作品は、修繕が一段落した築100年以上の家と初つばめを詠んだスケールの大きな作品で、審査員で歌人の佐佐木幸綱さん(84)は「縁起が良く、歌としてきちっとしたメリハリもついている」と称賛した。

 準大賞は川添さとみさん(61)=福岡市=の作品「傘立の中に隠れた怪獣が光りだす夜子ら去りし家」。審査員からは「映像が見えてくる」「詩情があっていい」などの声が上がった。

 児童生徒の部では夏休みの家族旅行や、家族の前で頑張った運動会、物置で見つけた家系図など自らの体験を素直に表した作品が目立った。

 大賞となった山根はるかさん(7)=醇風小2年=の作品について歌人の小島ゆかりさん(67)は「オオサンショウウオと比べて『わたしくらいの体』っていうのがいい。大人ではこんな表現は出てこない」と講評した。

 大賞以外の受賞者は次の皆さん。

 【一般の部】準大賞=川添さとみ(福岡市)▽入選=北尾美津子(鳥取市)貝塚涼子(茨城県土浦市)下城公秀(熊本市)▽佳作=前原和子(岡山市)宮崎真弓(滋賀県米原市)越智美恵子(米子市)岩田麻里(同)徳長典子(鳥取市)伊藤一男(埼玉県草加市)土屋慶文(東京都荒川区)松下二三夫(京都府綾部市)前川泰信(岐阜県可児市)吉森夏香(大阪市)

 【児童・生徒の部】入選=井戸垣斗真(国府東小6年)岡田碧斗(石川・鶴来中2年)田村魁成(桜ケ丘中2年)▽佳作=榎輝真(宮ノ下小1年)石原瑚都(鳥取東高2年)佐藤陽花子(西伯小6年)大久保諒一(鳥大付中2年)横道玄(山口大教育学部付属光中1年)田中佑希(国府中2年)蓼本月歌(同1年)竹折颯真(長野・広陵中3年)伊藤里紗(桜ケ丘中2年)松藤果南(西伯小5年)

 【団体賞】国府東小、青森・時敏小、鳥大付中

まさか自分が

 山口茂樹さんの話 期待して出しているが、まさか自分がという気持ち。明治の終わりに建てられた家を2年ほど前にリフォームした。修繕が一段落した時、ツバメが勢いよく入ってきたのを歌にした。ツバメは毎年のように来ており、この年はたまたまタイミングが重なってくれた。

心が浮き浮き

 山根はるかさんの話 夏休みに南部町の展示施設で生きたオオサンショウウオを初めて見た。丸くて細い魚かと思ったら、私の体くらい大きくてびっくりした。毎日見に行って、岩の陰に住んでいることを知った。大賞だと聞いて心が浮き浮きした。これからも大好きな生き物の歌を作りたい。

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