20日に投開票された鳥取市議選は11人の新人のうち、半数以上の8人が当選した。勇退議員の後継や政党公認、元市職員など知名度の高い新人が現職を抑えて当選。有力新人を警戒した現職も精力的な選挙戦を展開したが、選挙ムードは最後まで盛り上がらず、投票率は過去最低の39・15%に下落。初めて40%を割り込み、鳥取市民の議会離れが改めて浮き彫りとなった。
選挙戦では有力新人の積極的な動きが目立った。政党公認を受けた新人1人は、出陣式に国政選挙並みの200人以上の支援者を集めた。元市職員の新人2人は、旧町村の総合支所勤務時代に培った顔の広さや実績で地元に浸透した。
有力新人の出馬で、現職も多様な戦略を展開。地元外や新しい企業・団体への集票に奔走するなど、前回選より各陣営の熱量が増したことは間違いない。
それでも投票率が下落した理由の一つは、新型コロナウイルスにある。県東部では、11月に入ってから新規感染者数が増加。選挙期間中は1カ月前の約2倍に近い200人前後にまで急増した。感染対策に追われた現職の1人は「昔は100人規模の集会で選挙ムードを高めたが、今はできない。市民の関心が薄れていた」と振り返った。
ただ、最大の理由はコロナではなく、議会と市民の距離が遠のいたからだ。過疎化が進み、投票を棄権する高齢者が増えた。平成の大合併で鳥取市と一緒になった旧町村では議員が身近な存在ではなくなった。
誰もが住みやすいまちをつくるには、市政を市民目線でチェックすることが重要だ。それには、議会が市民にとって身近な存在であることが欠かせない。議員と有権者の対話の機会を増やし、投票しやすい環境を整備するなど、議会と市民との距離を縮めるための取り組みが急がれる。(中村芙美子)
維新、鳥取に初議席 喜びの玉木さん
市政改革を訴え、日本維新の会公認候補として鳥取市議選に初挑戦した会社役員の玉木裕一さん(44)=同市丸山町。市議会に維新の議席を初めて誕生させた。当選が確実となると、同党のイメージカラーである黄緑色に身を包んだ支援者らと万歳を繰り返した。
期間中は、党の国会議員計5人が応援演説に入るなど、維新カラーを前面に打ち出した選挙戦を展開。知人、友人が中心の後援会が支えた。教育環境の整備や子育て支援の充実を主張し、若い世代に政治に参加するよう呼びかけた。
花束を受け取った玉木さんは「最高の結果が待っていた。これからも挑戦を続け、期待を胸に鳥取を前に進めたい」と語った。(佐々木駿)