内外ともに当時の姿へ 仁風閣大規模修理 素材残しつつ現代技術で補強

  • 今回の修理で初めて解体される屋根裏の小屋組み=7日、鳥取市東町2丁目の仁風閣
  • 明治時代の建設当初に使われていた壁紙。一部の部屋で図柄を採用する

 鳥取市東町2丁目の国指定重要文化財「仁風閣」が、老朽化に伴う大規模な修理工事に入るため、12月下旬から約5年間休館する。1974~76年の「昭和の大修理」により1907(明治40)年の建築当初の姿を取り戻したが、経年劣化し、雨漏りや構造材の腐食が問題となっていた。今回の修理では、初めて屋根の小屋組みを解体するほか、建物全体の腐食部分を修繕する。外壁の塗装も全館で塗り直し、内外ともに建築当時の姿に近づける。

 同館は、旧鳥取藩主・池田家の14代目、池田仲博侯爵が別邸として建築した。当時の宮廷建築の第一人者で、赤坂離宮(東京都)や京都国立博物館(京都府)など、数多くの有名建築を手がけた片山東熊(とうくま)が設計し、8カ月の工期で完成。皇太子時代の大正天皇が行啓の際に宿泊した。

 同館はその後、レストランや結婚式場、科学博物館などに利用される中で、壁や屋根上の煙突を壊すなど、間取りの変更や改造が行われた。73(昭和48)年に国の重要文化財に指定され、「昭和の大修理」で建設当初の姿を取り戻したが、50年が経過し、当時は修理の必要がなかった部分を含め、雨漏りによる木材の腐食やしっくいの落下など、建物全体が著しく劣化している。

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