太宰治の短編小説を基に、戦争中のはかない恋を描いた映画「未帰還の友に」が15日から順次公開。太宰自身を思わせる主人公「先生」を演じた窪塚俊介は「当時よりも平和で自由な今の日本に生きる者として、毎日をもっと大事に、精いっぱい生きなければいけないと感じた」と話す。
舞台は太平洋戦争中の東京・上野。小説家の「先生」は、出征が決まった年下の友人、鶴田(土師野隆之介)を茶店に連れて行き、酒を振る舞う。鶴田は2人が行きつけにしていた居酒屋の娘マサ子との恋に終止符を打ってきたと明かし、苦しい胸の内を語り始める。
若者の悲恋を通じて、戦争の罪深さを浮かび上がらせる。「太宰らしい反戦の物語。隠れた名作です」と窪塚。役作りのため、当時の社会情勢や市民の暮らしぶりをつぶさに調べた。「物資が不足して、どこか閉塞感が漂っている。そういう時代の空気を身にまとうような芝居を心がけた」
慶応大理工学部を卒業後、2004年に俳優デビュー。演技の仕事は「人生そのものが研さんの場になるのが面白い」と語る。「どれだけ技術があっても、最後は人間としての器みたいなものが出る。その器を大きく美しく磨き上げるために、努力を続けてい...