「平和」の原点考えて 比の日本人戦犯赦免に尽力した加納莞蕾 四女の佳世子さんが講演

 戦後フィリピンの日本人戦犯の赦免に尽力した安来市出身の画家、加納莞蕾(かんらい)(1904~77年)の四女で同市加納美術館名誉館長の加納佳世子さん(79)が、米子市内で講演した。7月にフィリピンで開かれた赦免70年記念式典への出席などを振り返り、莞蕾の思いを平和へのスタートとするよう訴えた。

 莞蕾は、49年から当時のキリノ・フィリピン大統領らに300通を超える戦犯赦免嘆願書を送付。大統領は太平洋戦争で日本兵に妻子の命を奪われながらも「憎しみの連鎖」を断つとして53年7月、戦犯105人を釈放した。

 記念式典は在フィリピン日本大使館やモンテンルパ市、キリノ財団が主催し、佳世子さんは招待を受けてフィリピンに渡航。式典やマニラの日本人学校で講演した。

 10日に行われた講演で佳世子さんは、式典で「キリノの許し意味をもう一度みんなで考えよう」と呼びかけたことを紹介。世界で戦争が絶えない現状に触れ、莞蕾が布部村(現安来市)の村長だった56年に出した「布部村平和五宣言」について「核兵器廃絶などを盛り込んでおり、今でも十分役に立つ。命を大事にするという原点に返るべきだ」と主張した。

 講演は米子市永江の写真家、庄司丈太郎さんが自宅に開設した「小さなギャラリーsowing」で開催した。

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