年輪モニュメント奉納 清水寺・宝物館に 91年の台風で倒木の大スギ 古気候研究、貴重試料

 1991年の台風19号で倒木し、その後過去の気候変動を再現する古気候研究に役立てられた安来市清水町の清水寺の大スギが、江戸三大飢饉(ききん)があった年などを記した年輪のモニュメントとして同寺の宝物館に納められた。

 大スギは、主成分のセルロースに含まれる酸素の同位体比を測定し、分析可能だった1650~1991年の古気候研究の試料として活用された。

 年輪からは、江戸三大飢饉と呼ばれる享保(1731~32)、天明(82~87)、天保(1833~39)の飢饉の中でも、天保はより雨が多く冷夏だったことが分かった。

 モニュメントは幹を輪切りにした扇形で、幅1・3メートル、高さ0・6メートル。研究に携わった島根大の徳岡隆夫名誉教授と島根大大学院自然科学研究科の三瓶良和教授、名古屋大大学院の中塚武教授の3人の名前で奉納された。

 三瓶教授は「山陰地方では研究試料に活用できる巨木はまれ。この地方の古気候復元の貴重な試料となった」と強調した。

 清水谷善暁貫主は「古気候学の研究に役立ったことは誇り。寺に関するものは美術や建築、民俗などが中心だったが、新たに自然科学が加わった」と話した。

 モニュメントは4月以降、予約制で拝観できるほか、4月と11月に期間限定で公開する。

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