平家の武芸 脈々と 余部・御崎地区「百手の儀式」

 平家の落人伝説が残る香美町香住区余部の御崎地区で28日、800年以上前から続く伝統行事「百手(ももて)の儀式」が行われた。かみしもを着た3人の若者が、平家再興を夢見た先祖に倣い、冷たい雨が降る中、宿敵である源氏に見立てた的に向かって101本の竹矢を勢いよく放っていった。

 同地区には、壇ノ浦の戦い(1185年)で敗れた平教盛と安徳天皇に仕えた伊賀平内左衛門らが流れ着いたという伝説が残る。儀式は、源氏の襲来に備えて武芸を磨いたことが起源とされ、毎年1月28日に行われている。

 射手を務めたのは、香住高3年の藤平智己さん(18)と、大阪府吹田市に住む御崎地区出身の門脇寛太朗さん(14)、奏太朗君(12)の兄弟。射手や矢持ら一行は「控え、控えー、脇に寄れー」との掛け声とともに、集落の高台にある平内神社まで練り歩いた。

 神社に着いた3人は、住民や見物客が見守る中、御神木のイチョウの幹に取り付けた的を狙って、次々と竹矢を放った。命中した竹矢は魔よけになるとされ、多くの見物客が矢を大切に持ち帰っていた。

 初めて射手を務めた奏太朗君は「自分も射手をやりたいと思っていたので念願がかなった。的に5本、命中したのでうれしい」と笑顔で話していた。

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