【尾木ママの今日も笑顔で】「性暴力」問題の背景を考える

  •  尾木直樹
  •  旧ジャニーズ事務所の本社ビル=23年10月、東京都港区
  •  旧ジャニーズ性加害問題の経過(23年)
  •  年齢や性別に応じ、さまざまな性教育本が出版されている
  •  2月16日に東京都内で開かれた日本財団のシンポジウムで「予期せぬ妊娠」問題について発言=筆者提供

 最近、「性加害」という言葉がメディアをにぎわせています。長年封印されていた旧ジャニーズ事務所の“歴史的な”性加害問題に端を発し、芸能界やスポーツ界などで同様の問題が連日のように報じられています。

 この言葉が広く認知されるようになったのは、それだけ「性加害」、つまり「性暴力」の事例が多いことの裏付けかもしれません。

 内閣府の2020年度の調査によると、女性の14人に1人、男性の100人に1人が無理やり性交等をされた被害経験があるという深刻な数値が出ています。加害者の大多数は交際相手、配偶者、職場の関係者といった、被害者が知っている人たちで、全く知らない相手からの被害は1割程度となっています。もちろん、こうした数字は氷山の一角で、泣き寝入りや被害に気付いていないケースも多いようです。

 「性暴力」への人々の関心が非常に高まっている背景には、一体何が潜んでいるのでしょうか。

 ▽望まぬ妊娠は全て男性に責任

 『射精責任』―そんなセンセーショナルなタイトルの本が2023年に出版され、ネット上でも大きな話題になりました。著者で米国の起業家ガブリエル・ブレアさんは「望まない妊娠は、全て男性に責任がある...

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