300年続いた酒蔵、15分で捨てるしかなかった…原発事故に絶望

11年後、再出発を果たした地はまさかのアメリカだった

  •  酒造りを再開した冨沢周平さん(中央)、長男守さん(左)、長女真理さん=2024年2月、米ワシントン州(共同)
  •  2012年3月、地震で破壊された酒蔵を見る守さん=福島県双葉町
  •  2013年3月、停電したままの酒蔵で座り込む冨沢周平さん(左)と長女真理さん。タンクに残った日本酒をどうすることもできず「お酒に申し訳ない」と周平さん=福島県双葉町
  •  2012年2月、避難先で会津若松市の酒造会社のタンクを借りて造った日本酒の箱詰めをする冨沢周平さん(右)と真理さん=福島県いわき市
  •  2014年7月、米国での日本酒造りを決意した冨沢一家(左から)長男守さん、周平さん、妻悦子さん、長女真理さん。悦子さんは現在日本で過ごす=福島県いわき市

 アメリカ西部シアトル近郊、多くのワイナリーが建ち並ぶ一角で2022年、コメを蒸した湯気が盛大に立ち上った。仕込んでいるのは日本酒だ。

 杜氏の冨沢守さん(41)は、江戸時代から300年以上続く「冨沢酒...

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