ご愛読いただいた伊東潤・作、前田なんとか・画「鋼鉄の城塞(じょうさい) ヤマトブジシンスイス」は28日で終了し、29日から澤田瞳子・作、村田涼平・画による武家小説「春かずら」が始まります。掘割に水が流れる小藩で、12年も仇(あだ)討ちを果たせずにいる武士と仇(かたき)の息子である少年が出会い、ドラマが動き出します。四季の風物と人間模様が織りなす世界をお楽しみください。
作家の言葉
今回の連載では武家小説に初めて挑戦します。故あって仇討ちを果たせぬまま一時帰国した年かさの藩士と、その仇の息子である不遇な少年。彼らの出会いと複雑な感情のもつれ、二人を取り巻く人間模様に、繊細な四季の風物を重ね合わせたいと思います。これまで歴史的事実に正面から取り組む作品を多く書いてきましたが、今回は人間そのものに取り組みます。
画家の言葉
澤田さんの筆によって描かれる世界はもちろん、舞台となる時代の人々の息遣いや風俗、四季の移ろいなど、物語から少し離れた所にも目を向け、寄り道できるような挿絵で伴走していきたいと思います。