山傷めない「有機土木」 整備ポイントなど解説 木谷沢渓流土中環境改善フォーラム

 木谷沢渓流土中環境改善フォーラム(江府町主催)が、同町御机のエバーランド奥大山で開かれた。町民や県内外からの参加者約70人が聴講し、自然に配慮した土木工事への理解を深めた。

 町が進める木谷沢渓流の散策道工事の一部完成を機に5月26日に開いた。工事施工者で「有機土木」を実践する高田造園設計事務所代表で、NPO法人地球守顧問の高田宏臣さんが講演した。

 散策道工事に取り入れた有機土木は、自然にある石や木の根の配置を変えず、小石とワラや落ち葉などの有機物を使って施工する。水の染み込みを重視し、土中の水脈を守っていく。

 高田さんは従来型土木の問題点として、事業効率を求めるためコンクリートなどの工業製品が多用され土中環境に影響を及ぼすとし、「山の施工は街での工事のように設計図通りにいかない。大切なのは幅や傾斜など自然に従って造り、自然に戻る素材を使い土地を傷めないことだ」と整備のポイントを説明した。

 同町でプラネタリーヘルス事業を手がけるtenraiの桐村里紗代表、白石祐治町長、高田さんの3人によるトークセッションもあった。桐村代表は、有機土木を自治体として全国で先駆けて取り入れた同町を評価した上で「木谷沢の源流が保たれれば日野川流域、日本海も豊かになる」と指摘。白石町長は「手がかかった散策道になった。昨年開設した奥大山自然塾でも来訪者にこの石段の意味を感じてもらいたい」と完成を喜んだ。

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