中海産のオゴノリなどを使って土壌改良した畑で育てたサツマイモを原料にした芋焼酎の仕込み作業が、米子市夜見町の稲田本店で行われた。老舗酒造会社と、中海・宍道湖の環境再生に取り組む認定NPO法人自然再生センター(松江市天神町)の共同事業。「中海 宍道湖の恵み」の商品名で、11月下旬から限定販売される。
同センターは2018年から「オゴノリンク」と銘打ち、過剰繁殖すると水質悪化の原因になる海藻のオゴノリの活用に着手。漁業者や農家、地域住民らと共に、刈り取ったオゴノリを畑の土壌改良に活用して作物を育て、地域資源と経済の循環をつくる活動に取り組む。オゴノリは古くから自然由来の肥料として使われてきた。
オリジナル芋焼酎づくりの原料となるサツマイモは、松江市の大根島など3カ所の畑で栽培した「べにはるか」。土壌改良には中海産のオゴノリのほか、宍道湖東岸の天神川で過剰繁殖している水草を使った。生育は上々で、1・5トンを収穫し、うち1トンを稲田本店に持ち込んだ。
仕込み作業は9月30日と10月1日に行われ、同センターのスタッフや学生ボランティア、市民も参加。杜氏(とうじ)の信木真一さん(52)の指導で、洗浄したイモを包丁で切る作業に取り組んだ。切ったイモは蒸されてフレーク状に裁断され、タンクに入れられた。約1カ月半、熟成、蒸留を経て完成する。
「商品に付加価値を付けることは大事。べにはるかを焼酎に使うのは初めてだが、ふっくらとしたいいイモが多い。どんな味になるか楽しみ」と信木さん。同法人の小倉加代子副理事長(63)は「中海再生事業に目を向けてもらうPRツールとして、今年だけでなく継続して取り組みたい」と話した。
720ミリリットル入り2500円。約1300本製造され稲田本店で店頭販売されるほか、同センターで予約注文を受け付ける。問い合わせは電話0852(21)4882、同センター。